2022年 一般部門 準グランプリ

Secret garden

撮影者
藤田 貴美子 様
審査員コメント
「これは何だろう?」というのが、この写真を見た時の最初の感想でした。
それだけだったら特に心には残らないのですが、なぜだかこの作品から目を離すことができませんでした。

どれだけ見ても、僕にはこれが何を撮影した写真なのかわかりません。
もしかしたらこの作品には、被写体が何かなんて関係ないという思いも込められているのかもしれないですね。
可愛いとか綺麗とか、作者の感情の動きが撮影の動機になっているように感じました。
ただ紹介されたから撮るのではなく、自分の中に撮る理由があるということは、とても大切なことだと思っています。

一見「ふんわり」した写真のように見えますが、ピントを狙ったところにシャープに合わせることで、作品を引き締めています。ハイライトとシャドウのグラデーションも美しく、ライティングの丁寧さも感じます。画面の中にさりげなく斜めの線と曲線を入れることで、動きも演出していますね。「写真」としての完成度の高さを感じました。

水中の小さな世界を独自の視点で切り取ったこの作品は、見た人それぞれに違ったストーリーを感じさせるのではないでしょうか。
撮影者コメント
準グランプリに選んでいただき、ありがとうございます。
この日は、1月の寒い日で、ソフトコーラルが綺麗なポイントへ行きました。
いつもこのソフトコーラルが綺麗なポイントへ来ると、その幻想的な美しさにうっとりするのですが、この日も、ソフトコーラルの1つ1つの色彩、造形の美しさや不思議さに、しばらく魅入られていました。
すると、あるウミキノコがクルンと丸まっていて、そのわずかな隙間の鍵穴のような所から覗くと、1粒の小さなポリプの花が開いていました。
時間が止まったようで、すべてが静寂で、誰も知らない秘密のガーデンのように感じました。
ストロボの調整等に苦心して、丸々1ダイブかけて、見て感じた通りに近い写真が撮れたと思いました。
丸々1ダイブかけた成果が、この1枚でしたが、このような世界観を理解していただけるのかと思っていましたので、とても嬉しいです。
審査員の上出さん、エミナマリンの松浦さんとスタッフの皆さん、運営事務局の皆さまに、心から感謝しております。
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